留学生の「技術・人文知識・国際業務」への変更許可の審査基準

  1. コラム
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日本国内の大学や専門学校を卒業した留学生の方が、「技術・人文知識・国際業務」への在留資格変更許可申請の審査で判断される事項は以下の通りです。

(1)活動が申請に係る入管法別表に掲げる在留資格に該当すること

① 日本国内の公私の機関との契約に基づくものであること

日本国内の公私の機関とは、国・地方公共団体・独立行政法人・民間の会社・公益法人等です。

また、日本国内に事務所・事業所等を有する外国の法人等も含まれ、さらに個人であっても本邦で事務所・事業所等を有する場合は含まれます。

「契約」とは、雇用・委任・委託・嘱託等が含まれます。

契約は特定の機関との継続的な契約でなければなりません。

② 自然科学又は人文科学の分野に属する技術又は知識を要する業務に従事する活動であること

◆「技術・人文知識・国際業務」については、理学・工学などや法律学・経済学その他の人文科学の分野に属する技術又は知識を必要とする業務に従事する活動であることです。

一般的に求人の際の採用基準に「未経験可すぐに慣れます。」と記載のあるような「単純作業」が含まれる業務内容や、日本人の従業員が一般的に従事している業務内容は対象となりません。

◆ 活動が「技術・人文知識・国際業務」に該当するものであるか否かは、在留期間中の活動を全体として捉えて判断することとなります。

したがって 例えばほとんどの部分は「技術・人文知識・国際業務」に該当するとは認められないようないわゆる単純な業務や反復訓練によって従事可能な業務を行う場合には「技術・人文知識・国際業務」に該当しないと判断されます。

また活動内容が「技術・人文知識・国際業務」に該当しない業務が含まれる場合であっても、それが入社当初に行われる研修の一環である場合には、在留資格変更許可申請等の際に、あらかじめ具体的な研修計画等を提出することにより認められる場合があります。

ただし、例えばホテルに就職する場合研修と称して長期にわたって専らレストランでの配膳や客室の清掃等のように「技術・人文知識・国際業務」に該当しない業務に従事するといった場合には許容されません。

(2)原則として法務省令で定める上陸許可基準に適合していること

① 従事しようとする業務に必要な技術又は知識に関連する科目を専攻して卒業していること

従事しようとする業務に必要な技術又は知識に係る科目を専攻していることが必要であり、そのためには大学・専修学校において専攻した科目と従事しようとする業務が関連していることが必要です。

※ 業務との関連性について大学卒業者の場合は、大学における専攻科目と従事しようとする業務の関連性については、ある程度柔軟に判断されます(海外の大学についても同様です)。

専門学校卒業の場合には、専門学校における専攻科目と従事しようとする業務については,相当程度の関連性を必要とします。

ただし直接「専攻」したとは認められないような場合でも、履修内容全体を見て、業務に係る知識を習得したと認められるような場合においては、総合的に判断されます。

なお、関連性が認められた業務を3年以上した方は、その後に従事しようとする業務との関連性については柔軟に判断されます。

※専門学校卒業の方については、修了していることのほかに

◆専門士または高度専門士と称することができることが必要です。

② 日本人従業員の報酬と同等額以上の報酬を受けること

(3)その他の要件

・ 素行が不良でないこと

素行が善良であることが前提となり、良好でない場合にはマイナスの評価をされます。

例えば、資格外活動許可の条件に違反して、1週について28時間を超えてアルバイトに従事しているような場合には、マイナスの評価をされます。

他にも各種の届出などの義務をしていることも重要です。

○不許可事例

(1)経済学部を卒業した者から、会計事務所との契約に基づき会計事務に従事する として申請があったが当該事務所の所在地には会計事務所ではなく料理店があったことから、そのことについて説明を求めたものの明確な説明がなされなかったため当該事務所が実態のあるものとは認められず、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格に該当する活動を行うものとは認められないことから不許可となったもの。

(2)教育学部を卒業した者から、弁当の製造・販売業務を行っている企業との契約に基づき現場作業員として採用されて弁当加工工場において弁当の箱詰め作業に従事するとして申請があったが、当該業務は人文科学の分野に属する知識を必要とするものとは認められず、「技術・人文知識・国際業務」の該当性が認められないため不許可となったもの。

(3)工学部を卒業した者から、コンピューター関連サービスを業務内容とする企業との契約に基づき月額13万5千円の報酬を受けてエンジニア業務に従事するとして申請があったが、申請人と同時に採用されて同種の業務に従事する新卒の日本人の報酬が月額18万円であることが判明したことから、報酬について日本人と同 等額以上であると認められず不許可となったもの。

(4)商学部を卒業した者から、貿易業務・海外業務を行っている企業との契約に基づき海外取引業務に従事するとして申請があったが、申請人は「留学」で在留中に、1年以上継続して月200時間以上アルバイトとして稼働していたことが申請において明らかとなり、資格外活動許可の範囲を大きく超えて稼働していたことから,その在留状況が良好であるとは認められず、不許可となったもの。

○不許可事例 (専攻科目と従事する業務内容の関連性以外の判断)

(1)日中通訳翻訳学科を卒業した者から、輸出入業を営む企業との雇用契約に基づき、月額17万円の報酬を受けて海外企業との契約書類の翻訳業務及び商談時の通訳に従事するとして申請があったが、申請人と同時に採用され、同種の業務に従事する新卒の日本人の報酬が月額20万円であることが判明したため、日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けているとはいえないことから不許可となったもの。

(2)情報システム工学科を卒業した者から、本邦の料理店経営を業務内容とする企業との契約に基づき、月額25万円の報酬を受けてコンピューターによる会社の会計管理(売上,仕入,経費等)労務管理・顧客管理(予約の受付)に関する業務に従事するとして申請があったが、会計管理及び労務管理については、従業員が12名という会社の規模からそれを主たる活動として行うのに十分な業務量があるとは認められないこと、顧客管理の具体的な内容は電話での予約の受付及び帳簿への書き込みであり、当該業務は自然科学又は人文科学の分野に属する技術又は知識を必要とするものとは認められず、「技術・人文知識・国際業務」のいずれにも当たらないことから不許可となったもの。

(3)ベンチャービジネス学科を卒業した者から、本邦のバイクの修理・改造やバイク関連の輸出入を業務内容とする企業との契約に基づき月額19万円の報酬を受けて、バイクの修理・改造に関する業務に従事するとして申請があったが、その具体的な内容はフレームの修理やパンクしたタイヤの付け替え等であり、当該業務は自然科学又は人文科学の分野に属する技術又は知識を必要とするものとは認められず、「技術・人文知識・国際業務」のいずれにも当たらないため不許可となったもの。

「技術・人文知識・国際業務」への変更許可申請のうち、特に「翻訳・通訳」業務については、専門学校での専攻との関連性等について説明が必要です。

専攻との関連性のみならず、実際に翻訳・通訳業務の能力、業務量も審査されます。

そのため、翻訳・通訳能力の証明のほか何語と何語間についての翻訳・通訳を行うのか?どういった業務があるのか?などを審査官から聞かれたらそれを説明する必要があります。

専門学校における専攻との関連性としては、履修科目に「日本語」に関連する科目が相当数含まれている場合でも、留学生が専門分野の科目を履修するために必要な専門用語を修得するための履修である場合や日本語の会話・読解・聴解・漢字等日本語の基礎能力を向上させるレベルに留まるものや同一の専門課程において日本人学生については免除されているような基礎的な「日本語」の授業の履修については、翻訳・通訳業務に必要な科目を専攻して卒業したものとは認められていませんので注意が必要です。

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