就労ビザの審査 3 相当性について

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就労ビザの審査 3 相当性について
日本に在留する外国人が今までとは違う活動を日本で行うとき、許可された期間を超えて引き続き在留しようとするときは、法律に基づいて在留資格の変更許可又は在留期間の更新許可の申請をして、入管当局が許可申請を「適当と認めるに足る相当の理由があるときに限り」、許可できるということが規定されています。
この「相当の理由」の判断については、入管当局の裁量(自由)に委ねられています。
入管当局は申請する外国人の在留状況、在留の必要性、相当性等を総合的に審査して認めるかを判断しています。
では、在留資格の「相当性」とは、いったい何でしょうか?
「相当性」とは、変更又は更新申請に対する書類審査をする際の出入国在留管理庁の審査材料です。
申請する外国人は、在留資格の書類審査について、自己の『相当性』を入管当局に疎明する必要があります。
この「相当性」は、申請する外国人が自身で疎明することになります。

入管当局が在留資格の「相当性が無い」と判断してしまえば、残念ながらその申請は不許可となります。
入管当局が公表している「相当性」の項目は以下の通り5つあります

1)素行が不良でないこと
日本で日本の法律を守っていないとビザが出ません。
具体的には、重大な刑事処分や重大な入管法違反などが該当します。

2)独立生計を営むに足りる資産または技能を有すること
申請する外国人が収入や資産により日本で安定した生活ができるかどうかということです。

3)雇用・労働条件が適正であること
申請する外国人が日本国内で、適法に就労しているかどうかということです。
例えば、会社との雇用関係が違法だとこの審査基準で引っかかる可能性があります。

4)納税義務を履行していること
日本の税金は「租税法律主義」により、全て法律に基づいて課税されています。
日本の憲法第30条、第84条で定められている通り、日本に在留する限り日本で税金を適法に収めることは、「義務」になりますので、これは特に重要なことです。

5)入管法に定める届出等の義務を履行していること
「中長期在留者」である外国人は、自己の在留状況に何らかの変化があったときには、入管当局に届出をする義務があります。
この「届出」を軽んじて履行しない方は、審査上ネガティブな要素になります。

(参考判例:『マクリーン事件』(1978年10月4日)のポイント)
① 憲法上、外国人は、わが国に入国する自由を保障されているものでないことはもちろん、在留の権利
ないし引き続き在留することを要求しうる権利を保障されているものではない。
② 在留期間の更新を適当と認めるに足りる相当の理由があるかどうかの判断について、全くの事実の
基礎を欠き、又は社会通念上著しく妥当性を欠くことが明らかである場合に限り、裁量権の範囲を超
え又はその濫用があったものとして違法となる。

以下に「相当性」の判断により在留資格の許可申請が「不許可」となった事例をいくつか挙げてみます。
~以下抜粋して転載(法務省ホームページ)~

(事例1)
在留資格「技能(1年)」の上陸許可を受けて入国し,以後3回の在留期間更新許可を受けて在留していたところ,公然わいせつ罪により罰金10万円に処せられた。同人から,引き続き,調理師として活動したいとして在留期間更新許可申請がなされたところ,在留状況に問題があるとして,在留期間の更新が認められなかったもの。
(事例2)
日本語教育機関に入学するとして,在留資格「就学(1年)」の上陸許可を受けて入国,その後,大学進学のため在留資格「留学(2年)」へ在留資格変更許可を受け,以後2回在留期間更新許可を受けて在留していたところ,詐欺容疑で通常逮捕され起訴猶予となったもの(詐欺内容は,他人名義の国民健康保険証を借り受け,22回に渡り医療機関に通院し,医療給付を騙し取ったというもの。)。
同人からは,引き続き大学院での勉学を継続したいとして,在留期間更新許可申請がなされていたところ,在留状況に問題があるとして在留期間の更新が認められなかったもの。
(事例3)
在留資格「就学(6月)」の上陸許可を受けて入国し,以後3回の在留期間更新許可及び3回の在留資格変更許可を受け,在留資格「短期滞在(90日)」をもって在留していたところ,本邦の企業に就職して稼動することを希望するとして,同人から,在留資格「人文知識・国際業務」への在留資格変更許可申請がなされた。
上記変更申請中に,同人は,ホステスとして稼動しているところを摘発され,違反調査の結果,上記変更申請後から摘発されるまでの約3か月間継続してホステスとして稼動していることが判明し,資格外活動容疑により退去強制手続が執られることとなったことから,在留状況に問題があるとして在留資格の変更が認められなかったもの。
(事例4)
在留資格「短期滞在(90日)」の上陸許可を受けて入国し,その後,日本人女性と婚姻したことにより,在留資格「日本人の配偶者等(1年)」の在留資格変更許可を受けて在留していたところ,日本人女性と協議離婚が成立したものである。
同人からは,協議離婚後,引き続き本邦に在留したいとして,在留資格「定住者」への在留資格変更許可申請がなされたところ,本邦在留歴は約1年3ヶ月であり,離婚に至る事情及び日本社会への定着性等の事情から,在留を認めるべき事情がないものとして在留資格の変更が認められなかったもの。

~以上抜粋して転載(法務省ホームページ)~

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